掲載日: 2018年2月5日 17:41
National Toxicology program は、NIH(National Institute of Health: アメリカ国立衛生研究所)の毒性を専門に研究している部門です。その部門が、携帯の周波数に近い波長の電波をマウスとラットに長時間照射した最新の研究結果を発表しました。 明確に有害であるという結論には達してはいませんが、電波が生物に対して無害であるとはいえないという、何ともあいまいな結論になっています。
National Toxicology Program, U.S. Department of Health and Human Services
"Draft Reports, Public Comments, and Related Information: TR Peer Review Panel"
かなり難しい内容ですが、身近な問題なのでもっと真剣な議論が必要ですね。
|
|
掲載日: 2018年1月10日 17:08
2017年11月、ASCO (American Society of Clinical Oncology)/アメリカ臨床腫瘍学会が「アルコールは発がん物質である」と明言し、飲酒を控えるように提言しました。
http://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2017.76.1155
以前より飲酒の害は指摘されてきましたが、タバコのように明確に悪者にされるケースは多くありませんでした。しかし、これからは日本でもアルコールの害は無視できないものになっていくでしょう。 タバコは既に規制の対象になっていますが、これからはアルコールも規制対象となっていくと考えられます。そうなると、アクセスを制限するために①値上げ②販売時間の制限③販売店舗の制限といったことが考えられますが、関連業界がどの程度受け入れるのかがポイントになるのではないでしょうか。 10年後には、「昔は飲み放題があってねー」ということになっているんでしょうか? |
|
掲載日: 2016年5月9日 17:00
 4月22日、BioViva USA社の Elizabeth ParrishCEOが、自分自身を被験者とした最新の遺伝子治療を行ったことを発表しました。 2015年9月に、テロメアの合成を行うテロメラーゼ遺伝子を組み込んだウイルスを静脈注射する治療を受け、2016年3月に結果を確認したところ、テロメアが長くなっていました。 テロメアはヒューストンにあるSpectraCell社にて測定され、治療前には6.71kbだったテロメアが治療後には7.33kbとなりました。 これは、テロメア20年分の老化がなかったことになる数値です。
参照:BioViva USA サイト
|
|
掲載日: 2016年3月16日 17:39
 がんの予防法ではなく、最新の話題が届きましたのでそちらを先に紹介します。
今まで、人間の細胞はブドウ糖(グルコース)をエネルギー源にしているとされていました。 ところが、MIT(マサチューセッツ工科大学)の最新研究によって、がん細胞の分裂で最もエネルギーとして利用されているのはブドウ糖ではなくアミノ酸であることが判明しました。
がん細胞が分裂する際に何をエネルギー源にしているのかを観察するために、Heiden准教授は複数のがん細胞と通常の体細胞に異なる栄養素を与え、細胞の変化を観察しました。 実験は、栄養素中のC(炭素)とN(窒素)に標識を施し、どれだけ細胞構築に利用されたかをわかるようにしました。
細胞分裂の前後で細胞の重さを量ると、ブドウ糖・グルタミン・グルタミン以外のアミノ酸を栄養として与えた細胞が体積を大きく増やしていることが分かりました。 そして、細胞がどれだけのCを利用して細胞を構築したのかを測定したところ、ブドウ糖で10~15%、グルタミンは10%でしたが、アミノ酸はなんと新しい細胞の20~40%を構築するのに利用されていました。
参照:MIT News on campus and around the world March 7, 2016 |
|
掲載日: 2016年3月7日 18:39
そもそも「がん」とは何なのでしょう? 「がん」とは、がん化した細胞のことです。 細胞が”がん化”すると、勝手に増殖を開始して大きな塊を作ります。 これが「腫瘍」と呼ばれるもので、一般的に悪性と良性があります。 良性腫瘍は、ただ単に細胞ががん化して正常な状態でなくなったものです。 対して悪性腫瘍は、正常組織との間に明確な仕切りがなく、他の組織へ浸潤していったり、転移を起こすものです。
 では、何で細胞ががん化するのでしょう? 一般的には、がん遺伝子が損傷を受けることによって発症するとされています。 がん遺伝子が損傷を受けると、長い時間をかけて徐々にがん化が進行していきます。 正常な細胞が異常な細胞となり、そこにさらに第二の異常、第三の異常というように多段階でがんが進行していきます。
人間の体には、遺伝子が損傷した際に修復する機能が備わっています。 この修復機能がきちんと作用している間はがんになりません。
遺伝子の修復機能に影響を与える要因は数多くあり、複合的に作用してると言われています。 加齢、飲酒、放射線、喫煙、ストレス、睡眠不足、ウイルス感染、など。
がんになるには、遺伝的要因 と 環境的要因 の2つが必要です。 |
|
掲載日: 2016年3月2日 18:59
 最近、知り合いが肝臓がんで入院しました。 既にあちこちに転移しており、外科的手術は適用外になりました。 後はQOL (Quality Of Life) の視点から、どのような治療をするのか、もしくは延命治療はしないのか、いろいろと決めていかなければならないでしょう。
ニュースでは、著名な方のがんに関するニュースが多く報道されています。 今や日本では、がん(悪性新生物)が死亡原因では1位で28.9%、2位の心疾患が15.5%ですから、この2つの疾患で44.4%もの方が亡くなっています。 3位の肺炎と4位の脳血管疾患は、新薬の効果や救急医療体制の充実により前年比で死亡数も死亡率も減少しています。
参照:厚生労働省 人口動態統計(確定数)の概況 平成26年
がんについてはいろいろな要素がからんできますので、詳細は次回以降にさせていただきます。
|
|
掲載日: 2015年10月9日 16:25
JAMA (The Journal of the American Medical Association)アメリカ医師会雑誌に、今まで謎だったゾウにガンが少ない理由について最新の論文が掲載されました。
ゾウは人間よりはるかに多くの細胞を持っているため、ガンに罹るリスクは人間より高いはずとされていました。 644頭におよぶゾウの死因を調査し、そのうちガンで死亡したのは5%に満たなかったのに対して、人間のガンによる死亡率はおよそ11~25%と2倍以上も高くなっています。 このことは以前から謎でした。
Lisa M. Abbegrenらは、腫瘍の形成を抑制する「p53」タンパク質をコードする遺伝子コピーが最低でも20コピー以上あることを突き止めました。 対して人間は1コピーしか持っていません。 この「p53」タンパク質に限って言えば、ゾウは人間より20倍もガンに罹りにくいと言えます。 さらに、DNAが損傷した場合において、人間よりもゾウの方が積極的にアポトーシス(管理・調整された細胞の自殺)が発生している事にも言及しています。 |
|