世の中は本庶先生のノーベル生理学賞の受賞で盛り上がってますが、がん免疫療法についてきちんと説明ができているメディアはいったいどれくらいあるのでしょうか? そもそも、「がん」とは、正常な細胞が「がん化」したものです。本来はコントロールされているはずの細胞がコントロール不能となって暴走し、制御不能となってしまった状態のものです。 それを治療するのに最も有効なのは切除です。しかし、がんの場所やがん化した大きさによっては切除が難しい場合があります。その際に選択されるのが、抗がん剤などの投薬や放射照射などの治療法でした。 でも抗がん剤や放射線照射には、大きな副作用が伴います。 それに対して、新しい作用機序の免疫療法が開発されました。がん細胞はもともとは自分の細胞なので、攻撃しないようにブレーキがかかるようになっています。そのブレーキを強制的にはずすことで「がん」を攻撃できるようにする薬が「免疫チェックポイント阻害薬 オプジーボ」です。 理論的には、がん細胞以外の細胞は攻撃しないはずなのですが、免疫に作用する薬ですので多くの予測できない副作用が発生するリスクがあります。販売元企業のHPでも、数多くの重大な副作用について説明されています。劇的な症状は薬剤投与直後から24時間以内に現れるのでわかりやすいのですが、反復投与によって引き起こされてくる副作用は、何が原因なのかの見極めが難しいため、長期にわたった経過観察が必要です。今後、より効果的な投与方法や次世代の薬剤などが次々と開発されるものと思われます。 |