掲載日: 2016年8月29日 16:18
日本初の画期的な抗がん剤が完成する可能性が高くなってきました。 大腸がんの元となる”がん幹細胞”の機能を抑制することで、がんを根絶することが可能になります。 しかも、この候補物質は経口投与が可能だそうです。 共同研究に名を連ねる「カルナバイオサイエンス株式会社」は、もともとキナーゼの研究で有名な会社でしたが、今回のプレスリリースで29日の株価はストップ高になりました。
 参照:国立がん研究センター プレスリリース
今回の研究は、世界中の研究者が取り組んでいたテーマでしたが実用化に至るまでの研究結果は得られていませんでした。 早く実用化されて、大腸がんで亡くなる方が一人でも減る事を熱望します。
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掲載日: 2016年7月13日 16:09
HIV/AIDS・結核・マラリアの3つが世界三大感染症です。
結核やマラリアは過去の病気と思われているかもしれませんが、衛生状況の悪い新興国やマラリア蔓延エリアでは患者数も多く、重要な問題になっています。 インドでは、手に入りにくい患者のサンプルも(三大感染症の患者全てがいるため)比較的容易に手に入るため、国際的な製薬会社の研究員が大学や研究所などで新薬などを開発していました。私が以前勤めていた会社でも、結核の迅速診断法の開発をインドの企業と開発していました。結核菌を培養する培養法では、結果が出るまでに最低でも4週間かかります。一方で遺伝子検査などの迅速法ではコストがかかり過ぎます。安価で迅速な検査法の開発が課題です。 マラリア・HIVにも同様の課題があります。
先日、会社員時代からお世話になっていたマーケティングの師匠が、久しぶりに時間ができたということで近況報告会を開催されたので参加してきました。 雑誌や内閣府などのイベントでご存じの方もいるかと思いますが、Malaria No more Japanという日本で唯一のマラリアに関する国際NPO法人で専務理事をしている水野達男さんです。 ほぼ10年ぶりにお会いしましたが、以前よりも元気で生き生きしていたのが印象的でした。 |
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掲載日: 2016年5月9日 17:00
 4月22日、BioViva USA社の Elizabeth ParrishCEOが、自分自身を被験者とした最新の遺伝子治療を行ったことを発表しました。 2015年9月に、テロメアの合成を行うテロメラーゼ遺伝子を組み込んだウイルスを静脈注射する治療を受け、2016年3月に結果を確認したところ、テロメアが長くなっていました。 テロメアはヒューストンにあるSpectraCell社にて測定され、治療前には6.71kbだったテロメアが治療後には7.33kbとなりました。 これは、テロメア20年分の老化がなかったことになる数値です。
参照:BioViva USA サイト
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掲載日: 2016年4月22日 18:44
4月19日、ケンブリッジ大学(イギリス)のDr. Andrew Gillisが率いた研究チームが衝撃的な研究結果を発表しました。
138年前に、著名な学者であったドイツの比較解剖学者Dr. Karl Gegenbaurが「サメやエイなどの軟骨魚類のエラやヒレが進化して人間の手足はになった」という説を唱えましたが、その根拠となる化石もなく、現在まで忘れられてしまっていました。
エイのエラには、鰓弓(さいきゅう)と呼ばれる弓状の骨がありますが、現在の技術で遺伝子解析を行ったところ、この鰓弓に人間の四肢と共通する遺伝子が存在することがわかりました。 ハーバード・メディカル・スクール(アメリカ)のチームはこの遺伝子に、有名なゲームのキャラクターから取って、"Hedgehog"と名付けました。
Hedgehog遺伝子は、人間の身体では分化の初期段階で「どちらが親指側でどちらが小指側であるか」を決定し、最終段階では、正常な大きさまで成長するように指示します。 一方でエイの体では、鰓弓の発達に関与しています。
共通する遺伝子にも関わらず役割が異なっているということは、 1)進化の過程において”エラ”が”手足”へと変化していった |
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掲載日: 2016年3月23日 19:00
さて、皆さまが気にしているがんの予防方法です。 これがどうしようもなく普通のことばかりなんです。
1、ストレスを溜めない ストレスが万病の元であることは周知の事実ですが、現代に生きている我々にはなかなか難しいものです。 2、肥満を避け適度な運動をする 過度の運動は身体に負担となります。 厚生労働省の健康日本21では、以下が推奨されています。  ①1日100,000歩以上 ②週に2回以上、1回30分以上の息が少し弾む程度の運動 3、身体に悪いものを摂取しない ①お酒、タバコなどの嗜好品 ②塩分を控える ③熱い飲み物を飲まない
簡単に言ってしまえば、がんは遺伝子のエラーが修復されない状態です。 がんのリスク遺伝子を持っていても、修復機能が正常に働いている間はがん化することはありません。 結局のところ、長生きができても健康寿命が短ければ意味がありません。 いろいろな健康食品や健康器具などがあふれていますが、万能なものはありません。 その中から、自分にあった方法を選ぶことが重要です。
参照:厚生労働省 健康日本21 身体活動・運動
参照:国立研究開発法人 国立がん研究センターがん対策情報センター |
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掲載日: 2016年3月7日 18:39
そもそも「がん」とは何なのでしょう? 「がん」とは、がん化した細胞のことです。 細胞が”がん化”すると、勝手に増殖を開始して大きな塊を作ります。 これが「腫瘍」と呼ばれるもので、一般的に悪性と良性があります。 良性腫瘍は、ただ単に細胞ががん化して正常な状態でなくなったものです。 対して悪性腫瘍は、正常組織との間に明確な仕切りがなく、他の組織へ浸潤していったり、転移を起こすものです。
 では、何で細胞ががん化するのでしょう? 一般的には、がん遺伝子が損傷を受けることによって発症するとされています。 がん遺伝子が損傷を受けると、長い時間をかけて徐々にがん化が進行していきます。 正常な細胞が異常な細胞となり、そこにさらに第二の異常、第三の異常というように多段階でがんが進行していきます。
人間の体には、遺伝子が損傷した際に修復する機能が備わっています。 この修復機能がきちんと作用している間はがんになりません。
遺伝子の修復機能に影響を与える要因は数多くあり、複合的に作用してると言われています。 加齢、飲酒、放射線、喫煙、ストレス、睡眠不足、ウイルス感染、など。
がんになるには、遺伝的要因 と 環境的要因 の2つが必要です。 |
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掲載日: 2016年1月8日 18:52
 最近、にわかに注目されている「ゲノム編集」技術ですが、一般の方はどの程度理解されているのでしょう? 以前からある、「遺伝子組み換え」とは何が異なるのでしょう?
”遺伝子組み換え”は、食品(主に大豆やトウモロコシなどの穀物類)でご存じの方が多いと思います。 この技術の特徴は主に2つです。 1、犬の遺伝子に猫の遺伝子を組み込むような、他の生物の遺伝子を人為的に組み込むこと 2、特定の遺伝子を人為的に発現・抑制させること
利点は、今まで数世代、20~50年かかっていた作物や家畜の品種改良が1~3世代、3年程度に短縮されることです。
問題点は、主として3つ。 1、本来ありえない遺伝子によって、本来ありえない物質が産生されてしまう可能性があること 2、既存の生物と交配することによって、本来ありえない変異を起こす可能性があること 3、遺伝子組み換え作物が特許の対象となり、1世代限りの種子が開発されました(ターミネーター 遺伝子の導入) 農家は毎年種子を購入する必要が発生し、自由に作物を育てることができなくなりました
”ゲノム編集”技術の特徴は、他の生物の遺伝子を組み込むことなく、直接遺伝子を編集する技術です。 特徴と利点は、 |
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掲載日: 2015年10月9日 16:25
JAMA (The Journal of the American Medical Association)アメリカ医師会雑誌に、今まで謎だったゾウにガンが少ない理由について最新の論文が掲載されました。
ゾウは人間よりはるかに多くの細胞を持っているため、ガンに罹るリスクは人間より高いはずとされていました。 644頭におよぶゾウの死因を調査し、そのうちガンで死亡したのは5%に満たなかったのに対して、人間のガンによる死亡率はおよそ11~25%と2倍以上も高くなっています。 このことは以前から謎でした。
Lisa M. Abbegrenらは、腫瘍の形成を抑制する「p53」タンパク質をコードする遺伝子コピーが最低でも20コピー以上あることを突き止めました。 対して人間は1コピーしか持っていません。 この「p53」タンパク質に限って言えば、ゾウは人間より20倍もガンに罹りにくいと言えます。 さらに、DNAが損傷した場合において、人間よりもゾウの方が積極的にアポトーシス(管理・調整された細胞の自殺)が発生している事にも言及しています。 |
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