東京では、ほぼ1か月以上にわたってまとまった雨が降っていません。ニュースでは、「乾燥に注意してください」「火の元」に注意してくださいと言っていますが、乾燥すると何をそんなに注意しなければいけないのでしょうか?少しわかりやすく説明してみましょう。 1 火事 大気が乾燥すると、可燃物が燃えやすくなります。濡れた紙と乾いた紙とどちらが燃えやすいかを考えたら分かりやすいですよね。濡れた紙には、なかなか火が付きませんが、乾いた紙はあっという間に火がついて燃え上がります。それと同じことが、自然界でも起こっているのです。木造家屋に含まれる木材の水分、山林の樹木の水分、枯草の水分などが少なければ、火が付きやすく燃え広がりやすいのは当然ですよね。くれぐれも火の元には注意してください。 2 人体 人間の体は60%が水分で構成されています。外部が乾燥していれば、ヒフの表面から蒸発する水分量は増加します。そうすると、気が付かないうちに体内の水分量が低下してしまいます。水分が蒸発するときには、「気化熱」を奪っていくので、体温の低下も招きます。気が付かないうちに、「脱水と低体温のダブルパンチ」という可能性もあります。 また、鼻や喉などの粘膜表面には、「繊毛」という細かい毛があり、ウイルスや細菌が取りつかないように、また取りついても洗い流すように機能しています。ところが水分が不足すると、この繊毛の機能は急激に低下します。そうすると、ウイルスや菌が粘膜にとりついて、体内への侵入を許してしまいます。 3 乾燥対策には水分摂取 人間は活動しなくても、生命活動は行われているので、尿や便、呼吸や汗、皮膚表面などからの蒸発などで2.5Lの水分が排出されます。なので、最低でも2.5Lの水分を摂取しないと体内から水分が失われることになります。そのうち、食事から約1Lの水分がとれるので、残り約1.5Lを飲料水として摂取する必要があります。当然ですが、活動量が増えると必要となる水分量は増加します。若く活発に動く世代では、3.5L程度を必要とするというデータもあります。 体内の水分量が2%減少すると、強く喉が渇き、運動能力の低下が起こり始めます。5%を超えると、頭痛、倦怠感、めまい、疲労感などの明らかな脱水症状が現れます。10%を超えると、けいれん、発熱など生命維持に問題が出始めて、20%を超えると、死に至ります。 体重60kgの男性で考えると、1.2kg(2%)、3.0kg(5%)、6.0kg(10%)、12.0kg(20%)となります。自分の体重に当てはめて考えてみましょう。 つまり、人間は2日間以上水分を摂取しないと、生命の維持が困難になるということです。水は飲みすぎても尿として体外に排出されるので、一度に大量に摂取しない限り、健康に悪い影響はないとされています。積極的に水分を摂るようにしましょう。 参考:健康のために水を飲もう「厚生労働省」 |